2016年10月1日に犯罪収益移転防止法が改正されます。
そんなの自分に何の関係があるの?という方も多いかと思いますが、これにより金融取引における本人確認が強化されるなど少なからず個人ユーザーに対しても影響があります。
また、この法改正により顔写真の入っていない健康保険証が本人確認書類として利用出来なくなるとの噂もあります。
本当のところはどうなっているのでしょうか?
犯罪収益移転防止法とは
犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用される事や資金が移転することで、被害の回復に当てることが困難になることを防ぐための法律です。
犯罪収益の資金洗浄(マネーローンダリング)を防ぎ、テロ組織などへの資金供与を防ぐという意味では非常に重要な法律で、その一貫として金融関連事業者による本人確認等の強化が進められています。
従来法で対象としていたのは、銀行等の金融機関だったのに対し、改正法では、従来の金融機関等から、ファイナンスリース事業者、クレジットカード事業者、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者、司法書士などの法律・会計の専門家に拡大されることになっています。
キャッシングやカードローンへの影響
上記の通り、犯罪罪収益移転防止法の改正は、キャッシングやカードローンの契約もその対象となりますので、契約時の本人確認が今まで以上に厳格化されることとなります。
従来では、顔写真のない健康保険証などの本人確認書類でもOKとされてきましたが、改正後は、それだけでは不十分という事になり、追加で住民票の写しや戸籍謄本、印鑑証明などの提出が求められる事となります。
法改正に伴う対応事例1(プロミスの場合)
SMBCコンシューマーファイナンスのプロミスでは、法令の趣旨に鑑みて前倒しで対応するとして、2016年9月26日より本人確認書類の取扱いについての変更を行う旨を既にアナウンスしています。
改正前 (平成28年9月25日まで) |
健康保険証 | 原本提示でOK |
---|---|---|
改正後 (平成28年9月26日から) |
健康保険証 + 住民票等 | 原本提示に加えて、他の本人確認書類(※1)または現在お住まいの自宅住所が記載されている書類(※2)の原本の提示が必要となります。 |
※1.住民票の写し、戸籍謄本・抄本、印鑑登録証明書等
※2.以下の書類で発行から6ヶ月以内もしくは領収日が6ヶ月以内のもの
- 公共料金の領収書(電力会社、水道局、ガス会社、NHK発行のもの)
- 国税または地方税の領収書
- 納税証明書
- 社会保険料の領収書
法改正に伴う対応事例2(アコムの場合)
アコムも2016年10月1日以降、犯罪収益移転防止法の改正に伴い健康保険証等の顔写真がない本人確認書類のお取扱いが一部変更になる旨を既に発表しています。
改正法施行後に健康保険証等の顔写真がない本人確認書類で本人確認を行う場合には、現在お住まいの住所が記載された以下のいずれかの書類をあわせて用意する必要があります。
- 住民票
- 公共料金の「領収書」・・・電気、ガス、水道、固定電話(携帯電話を除く)、NHK等
- 納税証明書
※いずれも確認時に発行日または領収日から6ヵ月以内のものに限ります。
まとめ
つまり、法改正により顔写真の入っていない健康保険証が本人確認書類として利用出来なくなるという噂は、それだけではダメという意味では、半分本当で半分は間違いと言ったところでしょうか?
もっとも一般的な本人確認書類と言えば、普通自動車免許(これはもちろん顔写真入り)ですので、運転免許をお持ちの方には余り関係が無い話かもしれませんが、お持ちでない方は、9月の後半以降、健康保険証のみでは契約、申込が出来なくなりますので、その場合には、事前に必要書類を準備するなどの対応が必要となりますのでご注意下さい。
犯罪収益移転防止法のさらに詳しい情報については、警察庁犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)のホームページでご確認下さい。
(おまけ)犯罪収益移転防止対策室とは
金融機関などの特定事業者から届け出ら
れた疑わしい取引に関する情報を集約し、整理・分析して警察などの捜査機関に提供する業務を中心に、犯罪収益移転防止法の施行において中心的役割を果たす組織です。
尚、これは犯罪収益移転防止対策室のイメージキャラクター、うたとり君です。